Mind Lab / マインドラボ 活動報告ブログ

マインドラボは、ボードゲームを使って「生きる力」「考える力」を養う教育カリキュラムです。イスラエル生まれで、現在世界15カ国で教えられています。

淑徳小学校:トレジャー・アイランドで「問題解決」を学ぶ

淑徳小学校の放課後クラス「淑徳アルファ」では2学期のクラスがスタートしました。3年生のクラスでは、「トレジャー・アイランド」というマインドラボのオリジナルゲームを使って、問題解決について考えています。
 
海賊をスタート地点から宝箱まで、指定の歩数で導くというパズルゲームです。すでにルールは1学期に説明してあったので、どんなふうに考えればいいと思うかをプレゼンテーションしてもらって、それからその考え方に基づいて問題を解いていってもらいました。
 
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パズルゲームを解くときには、「競争じゃないよ」ということを必ず言うようにしています。競って速く解くよりも、わからない問題にどう取り組んで、自分なりの解き方で試行錯誤をしてもらうことをメインに考えているからです。
また、マインドラボではパズルゲームを2人1組で解かせます。その方が、協力することもできるからです。協力することができれば、「あ、人の意見って、聞いてみるもんだな」と思うようにもなります。人の意見を聞いてみて、違うと思ったときにも「それは違うよ。なんでかっていうと…」と理由を言えるようになります。そうしたコミュニケーションを大事にしたいと考えているので、2人1組でやっているのです。
 
2人で頭をくっつけて、ゲームを覗き込んでいる姿を見るのが、僕は大好きです。こんな感じで、いろんな問題に立ち向かえる人になってほしいと思っています。そのためにこそ、「考え方」を学ばなければいけないんだと思っています。
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淑徳小学校:キャット&マウスで「チームプレイ」を学ぶ

淑徳小学校の放課後クラス「淑徳アルファ」は、いよいよ2学期クラスがスタートしました。夏休みの間、お休みだった児童もいたので、キャット&マウスのルールを再度紹介し、ゲームをプレイしました。

今回は、ワークブックを使って、キャット&マウスのゲームについていろいろ考えてもらいました。キャット&マウスはネコのピース1つと、ネズミのピース6つで対戦するゲームです。ネコのピースは縦横に何マスでも動けますが1つしかない。ネズミのピースは前に1マスずつしか動けませんが6つあります。このとき、ネコとネズミのそれぞれの「強み」はなんでしょうか?というのが問題でした。

マインドラボの授業の中では、正解かどうかよりも、どうしてそう考えたのかを他者に対して伝えることの方がずっと大切なので、みなそれぞれに、「僕はこう思う」「こういうのでもいいんだろうか?」と話し合ったりしながら考えます。
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授業の最後に、どう動かせばネズミで勝てるのか、をみんなでデモ用のボードを囲んで考えました。上手に動かせば、必ずネズミが勝てるゲームなのですが、今回の授業ではまだネコが勝っている対戦もあったので、しっかり注意深くプレイしてもらって、次回はネズミが全勝になるといいな、と思います。その後で、ネズミの動かし方を考えるときに大事なことについてみんなで共有し、同じような考え方を日常生活の中で使えないかのディスカッションをします。

企業研修報告:ケア・トラスト様「ミニブリッジ」を使って計画力を学ぶ

ケア・トラスト社へのマインドラボのカリキュラムを通じた研修の第4回目の様子をご紹介いたします。今回は「ミニブリッジ」というゲームをプレイして、計画力について考えました。

ミニブリッジは、4人でプレイするトランプカードを使ったゲームです。ジョーカーをのぞいた52枚のカードを1人13枚ずつ配ります。1ラウンドにつき1枚ずつカードを出して、4人のうちでいちばん強いカードを出した人が、そのラウンドの勝者になります(A、K、Q、J、10、9…という順に強いカードです)。全部で13ラウンド行ないます。
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これだけのルールだと、最初に配られたカードによって強いプレイヤー、弱いプレイヤーが出てしまいます。ミニブリッジでは、カードが配られた時点で、全部で13ラウンドあるうち、何ラウンドで勝つかを宣言してもらうというルールになっています。
こうすると、最初に配られたカードで、「このカードは勝てそうだ」というふうに結果を見積もって、宣言します。宣言通りに勝てると得点を得られます。逆に、宣言通りにならなければ減点されます。(下の写真はイメージです) 

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最初に宣言をしたとおりに勝つためには、どのカードから出すかを決めなければなりませんし、必ず勝つと決めたカードで負けないように、相手の強いカードと出すタイミングが重ならないようにしなくてはなりません。他のプレイヤーがどんなカードを持っているかはわからないので、最初に宣言した通りにはなかなか勝てません。途中で計画通りにいかないこともあります。だんだん手持ちのカードが減って行く中で、どういうふうに宣言通りに勝つかを考えながらプレイしていきました。

最後のディスカッションでは、普段の職場(ケア・トラスト様は、介護施設の運営をされています)において、今回のゲームで学んだ計画性はどのように活かせるだろうかと、ファシリテーターをつとめる高野さんが質問を投げかけ、ディスカッションをしていきました。

参加者の方のアンケートから感想を抜粋いたします。
  • 理想と現実にギャップが生じた時、どのように対応するか。まずは目標とルールをしっかりと設定し、周りとのコミュニケーションを図りながら原因を見つけていきたいと思います。
  • ゲームを通して業務に活かせることが多いと感じました。“ズレ”が生じた時や想定外の事態が起こった時でも、自分のカード(できること)を考え、適当な対応を行っていきたいと思います。
  • 『目標』に向かった戦略を立てることの大切さ、想定外のことが起こる可能性を常に考えることは介護においても大事だと思いました。
  • 自分が考えていること、自分が見えていない部分で知らなければいけないこと、それはカード上だけの話ではなく、利用者様がどのように感じているのか、またスタッフはどういう仕事がしたいのかを意識することが重要だと感じました。
  • 情報を整理し、落ち着いて分析する難しさと大切さを学びました。日々の業務に活かしていきたいと思います。
  • 自分にどんな能力があるかということを手札として見る視点は、取り入れたいと思います。手札は運もあり、使い方に能力が発揮されるところですが、手札は成長させることができるかと思うので、運だけと思わないように気をつけたいと思います。
現場をよく知る高野さんのファシリテーションによって、ゲームの中での考えるポイントが、日常業務の現場にうまくなぞらえて話がされている様子が伺えます。

次回の研修は9月です。またレポートさせていただこうと思います。


マインドラボ・おとな会 Vol.12 開催「リソースマネジメント」

 8月20日(水)に、マインドラボ・おとな会Vol.12を開催いたしました。今回は、「ブロックス」というボードゲームをプレイしながら、「リソースマネジメント」について考えるトレーニングをしました。
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 ブロックスは、4人でプレイするゲームです。21種類持っている自分のピースをなるべくたくさんボード上に置いていくことを目的とします。21種類のピースは小さいものから大きいものまであり、形もさまざまです。大きいピースが最後に手元に残っている方が、減点ポイントが大きくなってしまうので、なるべく大きなピースから先に置いていくことが大切になります。

 1回目は、ゲームのルール説明だけで、まずはゲームをやってみる。その中でどういう風にしたらいいか戦略など自由に考えてプレイしてもらいます。1回目は、まずはやってみる。ゲームを楽しみ、熱中させることが目的です。
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 そして、1回目のゲームが終わったあとに、ディスカッションをします。
 まずは、勝った人に、どんなことを考えてやっていたのかを発表してもらいます。ゲームなので、考えたこと自体に正解も不正解もありません。ただ、そこで発表してもらった内容に、「どうしてですか?」という質問をして、さらに理由を聞き出します。そうすることで、発表者は、自分の考えた戦略について、どうしてそう考えたのかを考え、それを言葉で他人に伝えるというトレーニングをさせることができます。


 また、質問やディスカッションをしながら、ブロックスにおける思考法についても紹介していきます。

「大きいピースと小さいピースだったら、どちらを先に置いた方がいいですか?」
  「どうしてですか?」
「ボードの中央と端っこだったら、どっちにピースを置いた方がいいですか?」
  「どうしてですか?」
「自分の陣地と他の陣地だったら、どっちにピースを早く置いた方がいいですか?」
  「どうしてですか?」


 上記のように、どちらがいいか先に聞き出し、なぜそう考えたのかを説明してもらいます。
 こうやってディスカッションをして、考え方を共有することで、2回目のゲームスタイルがガラッと変わる人もいます。実際に知識として得た考え方を、ゲーム上で実践しているのが見える瞬間です。

 こうやって、得た知識をすぐに実践でき、その結果が目の前ですぐに見えるというのも、ボードゲームならではの良さだと思います。
 ゲームだからこそ、失敗を恐れずに、新しい考え方もすぐに取り入れ実践し、その結果を見ることができます。そして、またその結果から学んだことを次のゲームに活かす。というサイクルを短い時間で何度もできるのは、短時間でできるシンプルなボードゲームならではのメリットです。


 そうやって個人個人に戦略を考えてプレイしてもらったあとに、3回目は、チームプレイにも挑戦してもらいました。
対角線のプレイヤーの人とペアになり、お互いの残ったピースのマスの合計が減点になります。

 個人のときとはまた勝手が変わるので、中には席を立ってペアの人と戦略を話し合う程真剣に取り組まれている方や、ボードがよく見えるように立ちながらゲームをする方もいらっしゃいました。
 ゲームだから楽しく夢中になり、真剣になる。「楽しみながら真剣に考える」というところは、大人も子どもも変わりません。
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 このブロックスを使ったワークショップは、ケア・トラスト社の企業研修でも使用されております。また、先日小3~中学生の対象としたキッズ向けイベントでも実施いたしました。
 こちらも是非ご覧いただければと思います。



次回は、

9月17日(水)19:30~21:30の開催です。
 
今度は、コリドールというゲームを使って、「計画力とリソースマネジメント」について考えます。
▼「マインドラボ・おとな会Vol.13」<9/17(水)>
https://www.facebook.com/events/1542259736005999


企業研修や、学校の総合学習などの授業、教室のプログラムなどに、
「マインドラボ」を導入したいとお考えの方、関心のある方は、
お気軽に info@practica.jp まで、ご連絡ください。

夏休みキッズイベント ボードゲームで楽しく学ぶ!「問題解決力と状況判断力」

8月30日(土)に、夏休みキッズイベント ボードゲームで楽しく学ぶ!「問題解決力と状況判断力」を、小学校3年生〜中学生を対象に開催しました。

今回は、「ブロックス」というボードゲームを教材に利用しました。最初は簡単にルールを紹介します。ブロックスは、4人でプレイするゲームです。21種類持っている自分のピースをなるべくたくさんボード上に置いていくことを目的とします。21種類のピースは小さいものから大きいものまであり、形もさまざまです。大きいピースが最後に手元に残っている方が、減点ポイントが大きくなってしまうので、なるべく大きなピースから先に置いていくことが大切になります。

ブロックスをルールの確認もふくめてまず1度プレイしてみて、その後でディスカッションを行います。どういうことを考えればピースをたくさん置くことができるのか。ボードの端っこに行くのと中央に行くのと、何か意味は違うだろうか、などの問いかけをインストラクターがしていきます。

ディスカッションを終えて、もう一度最初からゲームをプレイします。そうすると、ゲームボードの状況が今どうなっているのかをしっかり見られるようになります。そして、自分の手持ちのピースをなるべく減らすために、できることは何か、と考えるようになります。
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ご参加いただいた保護者の方からは、以下のような感想をいただきました。
  • 自分自身で考えて行動することができるようになる。
  • 「発想力」や「先を読む力」をきたえられてすばらしい体験でした。
  • 体験して、発表していくという、学校ではなかなかできない思考の練習に最適だと思いました。
マインドラボの授業の特徴の一つとして、「どう考えたのか」を発表させる、ということがあります。保護者様の感想の中にある、「体験して、発表していく」という部分がそれにあたります。ゲームの中で、自分がとった行動について、「なぜそうしようと思ったのか」を発表することは、子どもたちにとって、あまり大変なことではなく、「僕はこう思う」「いや、違うと思う」とディスカッションも生まれやすくなっています。マインドラボでは、こうしたディスカッションこそ、考える力を伸ばすチャンスだと考えていますので、ボードゲーム+ディスカッションという授業形式をとっています。

また週末や休日などに開催しますので、ぜひご参加いただければと思います。

夏休みキッズイベント ボードゲームで楽しく学ぶ!「どうやったらできるか考える」

8月30日(土)に、夏休みキッズイベント ボードゲームで楽しく学ぶ!「どうやったらできるかを考える」を、年中さん〜小学校2年生を対象に開催しました。

マインドラボのワークショップの中では、最も低年齢向けのコースになります。まだルールが難しいのでは?という質問も、お問い合わせで受けることがありますが、年齢に応じたゲームを教材として選んでいますし、インストラクターがわかりやすくルールを説明しますので、大丈夫です。

今回、プレイしたゲームは、4種類のブロックと3種類の屋根を組み合わせて、お手本の通りにお城を作る、「ロジック・キャッスル」です。
それぞれのブロックには違う穴があいていて、正しい方向に置かないと、穴に屋根の柱を通すことができません。お手本を見て、どんなふうに柱が見えているかによって、どこにどの屋根を置かなければならないか、というのを考えられるようになっています。
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幼児にとっては、お手本をしっかり見て、それとまったく同じように作る、というのが、積み木遊びの延長のような形で入ってきます。最初はそれでOKで、だんだん、「あれ?入らない…」というお手本が出てきます。そこから、「この屋根はこっちじゃないとダメなんじゃないかな?」と考えられるようになってきます。

マインドラボの授業では、速く問題を解けることは、あまり意味を持っていません。それよりも大切なのは、「どうやって考えたのか」「どうしてそう考えたのか」ということを言葉にして言えること。きちんとお手本の通りに作れた問題についても、「どうしてこの屋根はこっちだって思ったの?」とインストラクターが質問をし、子どもたちはがんばって言葉にしていきます。
最初は、「えー…わかんない」とか「なんとなく」という言葉が多く出ますが、子どもたちの中に答えがないわけではなく、それを言葉にするということが習慣になっていないだけなので、時間をかけて、繰り返し、「どうして?」と問うようにしています。
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今回は夏休み講座だったので、保護者の方にも一緒にご参加いただきました。保護者様のアンケートでも、「楽しみながら思考力がつくと思いました」「教科を問わず、考え方の基礎が身につくと思う」「先生が“なぜ”を問い、そこで考えるクセが付き、トライ&エラーではない方法ができるようになると思う」などの感想をいただきました。

楽しく遊びながら考える、ということを、90分間で体験していただけたのではないかと思います。また週末や休日などに開催しますので、ぜひご参加いただければと思います。

淑徳小学校:キャット&マウスで「チームプレイ」を学ぶ

淑徳小学校の放課後クラス「淑徳アルファ」の夏休みのクラスも今週で最後です。2年生のクラスでは、1学期の最後にやった「キャット&マウス」をプレイしました。キャット&マウスは、ネコのピース1つと、ネズミのピース6つで、対戦をするゲームです。ネコのピースは縦横に何マスでも動けますが1つしかない。ネズミのピースは前に1マスしか動けませんが6つある、というゲームです。

最初のうちは、機動力のあるネコの方が圧倒的に有利に思えますが、6つあるネズミのピースがお互いをカバーするように動かすことで、ネズミが勝つことができる、というゲームです。
ただし、ネズミで勝つためには、注意深く次にどんな状況になるかを考えて、行動をしなければなりません。

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ゲームとしては、必ずネズミが勝つことができるルールになっているのですが、まだちらほらネコが勝っているペアもいます。ただ、いちどネズミできちんと勝てる人と対戦すると、「ああ、そういうことか」と理解する子もいます。
大切なのは、ただ定石を理解して「こうすれば勝てる」とわかることではありません。それはただ必勝法というノウハウにしかなりません。そうではなく、「どうしてそう動かせばいいのか」を理解できるか、また説明できるか、だと思っています。

授業の中でも、「どうすればネズミが勝てるか?」と訊くと、「考える!」という答えが出てきました。そこからがポイントで、「では、どういうふうに考えるの?」とさらに質問を重ねていくと、「ネズミは6匹いるから、取られても大丈夫なように考える」と、答えが少し具体的になっていきます。こうしたやりとりを重ねていくことが、マインドラボの授業の核になっている部分です。

まだ「どんなふうに考えているのか」を言葉にするのは、2年生には簡単なことではありません。でもだからやらない、というのではなく、その範囲で、どんなふうに考えればいいのかを、ボードゲームを入口に、先生の質問を通じて、伝えていければいいと考えています。