Mind Lab / マインドラボ 活動報告ブログ

マインドラボは、ボードゲームを使って「生きる力」「考える力」を養う教育カリキュラムです。イスラエル生まれで、現在世界15カ国で教えられています。

淑徳小学校:クアルトをオリジナルルールでプレイ!

淑徳小学校の放課後クラス「淑徳アルファ」でのマインドラボの授業は、夏休み中も続いています。2年生のクラスでは、1学期の最初にやった「クアルト」を復習。

クアルトは、色、高さ、形、穴の有無という4つの属性のなかのいずれかで、同じピースを4つ並べるという四目並べです。マインドラボでは、「行動を起こす前に、じっくり注意して考える」ということw学ためにクアルトを使っています。
1学期の最初は、「考えること」よりも「ゲームを楽しむこと」の方に重点があった児童がほとんどでしたが、3ヶ月間マインドラボの授業を受けてきて、「どう考えるのか」ということを楽しめるようになってきていますので、4月にはうっかりミスの連続だった児童たちが、「ここにこのピースを置いたら、もう高いのは置けないから…」と考えるようになってきていました。
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ここで、クアルトのルールを1つ追加します。実は、クアルトのゲームは、マインドラボの中では、オリジナルのルールを使っていません。夏休みは、ふだんよりも参加人数が少ないので、ちょっとスペシャルなことをしますが、クアルトの授業では、オリジナルルールに挑戦することにしました。
マインドラボでは、次に置くピースを自分で選べるようになっていますが、実はオリジナルなルールでは、相手が置くピースを渡す、というルールになっています。これを説明してプレイしました。教室は、「えーーー!」「むずかしそう!」「ややこしい!」という児童たちの声。でも、「やってみよう!」ということでみんなで挑戦しました。
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結論から言うと、みんなオリジナルルールでもしっかり「高いピースを置かれたらいけないわけだから、高いピースは渡さない!」というように、しっかり行動の前に立ち止まって考えることができていたように思います。

2年生は、まだ勝ち負けにこだわりが強い児童もいますが、マインドラボの授業の中では、「ゲームに勝てないことで怒られることはない」が、「考えずにゲームをすると怒られる」ということが浸透してきていると思います。だから、勝ち負けよりも「どう考えたのか」をしっかり振り返り、言葉にして伝えられる児童がだんだん増えてきているように思います。もうすぐ始まる2学期の授業が非常に楽しみです。

企業研修報告:ケア・トラスト様 「オクティ」を使ってリソースマネジメントを学ぶ

 ケア・トラスト社へのマインドラボカリキュラムを提供した研修ですが、今回は第3回めの研修の様子をご紹介いたします。 今回は「オクティ」というゲームを使ってリソースマネジメントについて考えます。
 オクティは、4つの8角形のポッドを相手の陣地に先にたどり着かせたほうが勝ち、というゲームです。ポッドは、8方向に足を挿すことができるようになっていて、足が挿してある方向にだけ進むことができます。足は各プレイヤーが12本ずつ持っています。
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 いつものように、ルールを説明した後、オクティのゲームをプレイしてもらいます。今回は、12本の足がリソースとなります。12本の足を、4つあるポッドのどこに挿すのか、というのと、どれくらい挿した状態で相手の陣地に向けて進み始めるのか、などが戦略の分かれ道となります。
 十分に準備ができてからでないと進まない人もいます。一方で、ある程度の準備ができたところで前に進めて、状況を見ながら足を挿し足す人もいます。そうしたなかで、自分がリソースについてどう考えているのか、ということを考えるきっかけにもなります。

 最後のディスカッションでは、では普段の職場(ケア・トラスト様は、介護施設の運営をされています)において、リソースとは何だろうか?ということを考えていきます。ファシリテーターをつとめる高野さんが、質問を投げかけ、参加者の皆さんが答えていく、というサイクルを通して、ゲームの中で考えたことや、ゲームの中で現れた考え方の志向を、日常の業務の中に落としこんでいきます。

 参加者の方のアンケートからいくつか抜粋いたします。マインドラボのメソッドを導入した研修も3回めですので、皆さん慣れてきた感じもあります。皆さん、ゲームが楽しかった」というところから、日常業務に落としこむという作業ができているように思います。

  • ゲームはとても楽しかったです。足について考えた時、それぞれのスタッフ能力が何があって何がないのかを考えることができました。
  • 楽しいゲームでした。自分は守ってから攻めるタイプと思いました。まずは、いろいろなことがあっても対処できる『足』が必要だと思いました。一人一人が別の方向に進んで行かないようにいちばん今つけなければならない足はどこなのか確認しなければいけないと感じました。
  • 施設をより良くするために、皆に足りない物や、設備等に関して話し合う時間がとても大切になってくると感じました。現在私は社会福祉主事の資格をとっているので、それが私自身に増えるリソースなのだと思います。今後も人はゲームと違ってリソースを増やせることを学べたので、施設で話し合う時間を作っていかなければならないと感じました。
  • オクティを用いた研修を通して、自分が今持っている足は何があるのかの再認識と、足をもっと増やしていこう!と思えるモチベーションの必要性を実感しました。自身の足がもっと増えるよう、より努力したいと思います。
  • 昨年と異なり、ゲーム形式で進む内容が多いですが、毎回ゲーム内容が異なり、かつその中身が実は日常の仕事に大変役立つ内容(考え方の組み立てなど)であることが大変新鮮です。
  • ポッドを人、足を能力と考えるト、今の業務にもすぐ考え方を活かせる用に思った。8方向のみならず努力によって足をさす本数を増やせて上限はないことをしっかり意識し、知識量や経験を積み重ねて目標に近づいて行きたい。それはそれとして、ゲームそのものはとても楽しかった。
  • リソースを増やせるよう自分自身がいちばん成長する。また、皆が大切なリソースなのでフォローしながらここの成長をのばすような関わりをしていきたいです。
  • とても楽しかったです。先を見据えることがケアプランにも通じていると思います。計画書もきちんと先を見て作成できたらと思います。

 次回の研修は8月です。またレポートをさせていただこうと思います。

西武学園文理小学校:ルナロックアウトで学べること(児童アンケートから)

 マインドラボを導入していただいている、西武学園文理小学校の先生と1学期の振り返りのミーティングをさせていただきました。西武学園文理小学校では、小学校の先生がtが1学期に数回の頻度で研修を受け、その都度、直近で授業で教えるシンキングゲームのルール紹介と、児童からよく出る質問や意見などを共有しています。他の学校での授業の様子なども共有して、先生がゆとりをもってマインドラボの授業をしていただけるようにしています。

 打ち合わせで、「ルナロックアウト」のゲームを行った後に、児童が書いたアンケートを見せていただきました。
 ルナロックアウトは、ロボットのピースと宇宙飛行士のピースを動かして、宇宙飛行士の赤いピースをゲームボード中央の赤いマスまで移動させるゲームです。ゲームをしながら、「順序立てて問題を解決する方法を考えること」「論理的に考えること」「可能性を複数が考えて、そこから選択肢を減らしていく方法=消去法」などを身につけることを目標としています。
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 以下、アンケートで児童が書いた内容を抜粋します。小学校3年生と4年生が書いた回答です。

(1)どんなことを考えてゲームをしましたか。

  • あとのことを考えてゲームをしないと、ゴールできなくなってしまうので、あとのことを考えてロボット・宇宙飛行士を動かす。動かせるロボット・宇宙飛行士はかぎられているから、動かせるものを考えてゲームをしました。

 ルナロックアウトは、一度ピースを動かしてしまうと元の場所に戻せないパズルなので、先のことを考えることが必要になります。ピースを動かしてしまう前に、「動かしたらどうなるだろう?」と想像することが習慣づいてきます。

(2)今回の学習から、学校や家での生活に何か役立つことはありましたか。どんなことに役立つと思いましたか。

  • 家で、あとのことを考えて行動すると、お母さんがやっている家事などがへるので、あとのことを考えようと思いました。
  • サッカーでパスをしたり、シュートをする時に、したらどうなるかと考えるとき。
  • 先のことを考えて行動する。
  • まずなにができるのか、発そうをふやす、順序を考える。
  • ものをかたづけるときに、いろいろ考えてかたづけられるようにすることに役立つと思う。

 家の中でのお母さんの家事を手伝う、とかサッカーをやっている児童は、サッカーの試合の中でのことに結びつけて考えてくれました。こうした日常生活の中でのことに結びつけて考えてもらうことが、マインドラボの授業で大切な部分になります。


 学校の授業に関係しそうな回答もありました。以下、回答文のまま掲載します。

  • たとえば、算数の授業で、この計算を先にすると、この答えになったりするけど、ルナロックアウトで学習したことを使って、先にするべき計算をしたりできる。
  • 学校では、算数や国語のじゅぎょうなどにやくだつと思います。先のことを考えてこれをすると答えがかわってしまうな、などおもに先のことを考える。

 国語や算数の授業で、ルナロックアウトを使って学んだ考え方を使ってもらえればいいと思います。
 また、国語に関係するところでは、

  • 話す時に、主語などをわすれずにいうことができると思う。

 という回答もありました。これは、先生がディスカッションの中で、「どれを動かしたらいいか?」「どうしてそう思うのか?」と考えていることを明確に言葉に出すことを求めているからこその回答だと思います。マインドラボでは、こうして考えていることを言葉に出すことを外部化と呼びます。言葉に出せることは、理解できていることだと考えていますので、こうした回答が出てくることは非常に嬉しく思います。
 実際、マインドラボ本部がおこなったリサーチでは、マインドラボの授業を受けた後、言語能力が上がる、という結果が出ています。授業の中で、ゲームの楽しさをきっかけにして、活発なディスカッションが行なわれ、それを正しく導く先生がいてこその成果だと言えると思います。
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 引き続き、2学期も西武学園文理小学校でのマインドラボの授業をサポートさせていただきます。(2学期は、授業の様子を取材することも予定しています。)

淑徳小学校:夏休みのクラスが始まりました

淑徳小学校(東京都板橋区)の学童保育「淑徳アルファ」は夏休みに入りました。夏休みはお休みの児童も多いので、出席の人数が少ないときには、先に進むのではなく、1学期に学んだゲームをじっくりやり直すということもしています。
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先週の2年生クラスでは、アバロンに取り組んでいます。アバロンは、相手のボールよりも多い数であれば、相手を押すことができるゲームです。なるべく自分のボールの数が多くなるように動かすことがポイントとなります。
クラスでは、「まとまる作戦」と「バラバラ作戦」という2つの作戦が流行っています。「バラバラ作戦」は、ボールをバラバラにして動かすので、実は動かし方としてはあまり効果的ではありません。ですが、そこで簡単に「まとめて動かしなさい」と説明しては、学びにならないので、こうした夏休みにインストラクターも対戦に参加して、バラバラ作戦を得意とする児童と積極的に対戦し、まとまる作戦で打ち破ることにしています。いったい、どうしてまとまる方がいいのか、ということは身をもって体験してもらうのがいちばん実感するからです。
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負けた後、「どうしてまとめた方がいいかわかった?」と質問すると、きちんと理解をしていることが多いです。そして、バラバラ作戦派からまとまる作戦派に変わって、今度はその作戦でクラスメイトたちと戦っていきます。
重要なのは、「どう考えるか」なので、こうした作戦の宗旨替えが起きたときこそ、クラス全体でディスカッションをするようにしています。このディスカッションこそが、マインドラボの授業の肝になります。

先週の3年生クラスでは、ラッシュアワーに取り組みます。淑徳小学校ではマインドラボのクラスは40分間ですが、3年生が40分で15問をスラスラと解いていきました。ラッシュアワーを使って習得しているのは、「問題が何かを見つける」「問題を解決するために、いま何をすべきかがわかる」ということを考えながら行動することです。
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ラッシュアワーを解くときに、児童がどんなふうなことを考えているか、というのは横で見ているとわかります。問題が何かを見つけずに、直感でピースを動かしている子は、ピースを動かすスピードが速いのですぐわかります。
そうしたところを見て、「いま、どれが問題なの?」「何をしようとしているの?」と問いかけをしていくことで、そうした思考方法を体得してもらえるように導いていきます。

夏休みには、生徒キットをみんな家に持ち帰っていますので、家族で保護者の方や兄弟姉妹と対戦をしている子も、毎年います。どんなふうに考えればいいのかを家族内で説明することで、考え方がより定着するという効果もありますので、インストラクターとしては、どんどん家庭でゲームもやってほしいと思っています。


マインドラボ・おとな会 Vol.11 開催「PDCAサイクル(計画力と情報分析力)」

 7月16日(水)に、マインドラボ・おとな会Vol.11を開催いたしました。今回は、トランプゲームの「ミニブリッジ」をプレイしながら、「PDCAサイクル(計画力と情報分析力)」について考えるトレーニングをしました。
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 ミニブリッジは、“あるルール”がないと、ほぼ運によってしまうゲームですが、この“あるルール”があることによって、現状から判断して計画することと、状況に応じて計画を立て直すという思考が必要となります。

 その“あるルール”とは、
ゲームを始める前に、配られた自分の手札を見て、自分が何回勝てるのか(トリック数)を見積もりし、その見積もり通りのトリック数を獲得することができたらポイントGET。誤差が生じた場合は、マイナスになるというルールです。

 1回のゲームにおいて、13回勝負をするので、13回中何回勝てるか(トリック数)を、自分の手札だけで予測を立てる必要があります。
また、ゲームを進めていく中で、見積もりとの差異を認識し、あと何回勝たなくてはいけないか、どのカードで勝つことができるかなど、状況をよく観察して、状況が変わるのに応じて計画を立て直す必要があります。
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1、状況から見積もり・計画を出すこと
2、計画をもとに行動する
3、見積もりとの差異を認識すること
4、過去の情報や現状を分析し、再計画すること

 このPDCAサイクルにおける思考が、ミニブリッジを通して疑似体験することができるのです。


 ミニブリッジは、手札のカードはシャッフルされて配布され、自分以外のプレイヤーが何を出すのかという不確定要素があるので、自分の力だけではどうにもできない状況・環境を作り出すことができます。強いカードがない状況も、ハートのカードが全くない状況も、このカードで勝つつもりはなかったのに、他のプレイヤーが出したカードによって勝ってしまい計画が狂ってしまうなど、いろんな状況が起こりえます。
 でも、それは、業務上や日常生活などにおいても、同じことが言えることです。どんな状況においても、その状況の中でできることを考え、PDCAサイクルの思考をするというトレーニングができるのです。

 今回は、5回ゲームをやり、その合計点数を競う形にしました。
各ゲームごとにもゲーム内容を振り替えることができ、その内容を次のゲームに活かすという失敗や経験から学び、次につなげるという体験も、ゲームを通して実践しました。

 途中、ゲーム内において、どういったことを考えているかをディスカッションしました。
業務や学習においては、なかなか発言すること自体に壁を感じてしまいがちですが、たかだかゲームの中でのことなので、特にストレスを感じずに発言できるのが、ボードゲームの良さだと思います。
 また、そもそも正解はないので、それぞれがどのように考えてプレイしているのかを発言してもらうこと、他の人の意見を聞くことに意味があります。
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受講者の振り返りのコメント

 

  • 自分のトリック数をビッドに合わせるようにすることで頭がいっぱいで、他人のトリックを邪魔することは難しかったです。仕事でもいつもマイペースで他人を気にしていないので、もう少し他人を観察する力をつけたいと思いました。
  • 今回のミニブリッジで面白かったのは、いかに手持ちのリソースをどう活かすかが重要だと感じた。現状のないものへの比較・不満ではなく、与えられた環境をどう見ていくかに生活を改善するチャンスがあるのかと思った。
  • 自分で最初に結果を決めよ。という所は、今まで味わった事のない感覚でとても新鮮だった。こうなったらいいな、ではなく、こうする。それをこのゲームから学べた気がした。
  • 今回、ゲームを通じて、短期的戦略の中でとるべき方針については、ゲームで学べると分かりました。環境に応じた判断が必要で、よい訓練になったと思います。課題としては、中長期的な計画と短期的な計画との乖離をどのように修正するかを考えられるゲームがあればいいなと思いました。その場での修正は可能ですが、どうしても中長期的な計画が形骸化してしまう傾向をあらためて感じました。
  • 最初、運や思い付きの手札切りだったものが、回を重ねるごとに、自分なりの作戦を立て、うまくいった、いかないを繰り返し、また作戦を練るといったサイクルが回っている実感がありました。不確定要素が適度(?)にあることで、“自分なり”のやり方につながり、かつゲーム性の面白味が担保されていたように感じました。
  • ただのゲームに、目的意識や意図を取り入れるだけで、ゲームは気軽に学習ツールになるのだと感じました。自分の持ち手をどのように分析して、目標を定めるのかの分析方法を、カードによって変えていることに気が付きました。同じカードを配って、他の人がどのようにビッドするのか?自分の分析との違いなどがシェアできる機会があったら、更に面白いと思いました。

 


次回は、

8月20日(水)19:30~21:30の開催です。
 
今度は、ブロックスというゲームを使って、「リソースマネジメント」について考えます。
▼「マインドラボ・おとな会Vol.12」<8/20(水)>
https://www.facebook.com/events/1427265094228656

また、

8月4日(月)16:00~19:00には、
「主体的に考え、行動できる人材の育成方法」をテーマとしたセミナーを開催します。
 
・主体的に考え、行動できる力の育成方法
・学生に行きたいと思わせる講座(仕組み)作り
・考える力を養う教育プログラム「マインドラボ」のミニ体験ワークショップ
その他、実際の授業での受講者の様子や受講後の変化など、教育実践のお話もさせていただきます。
▼セミナー「主体的に考え、行動できる人材の育成方法」<8/4(月)>
https://www.facebook.com/events/1503773536522575


企業研修や、学校の総合学習などの授業、教室のプログラムなどに、
「マインドラボ」を導入したいとお考えの方、関心のある方は、
お気軽に info@practica.jp まで、ご連絡ください。

聖学院中学校・高等学校: マインドラボ体験会を開催しました

 7月16日(水)に聖学院中学校・高等学校の高校Ⅰ年生の希望者を対象に、マインドラボの体験会を実施いたしました。26名の生徒さんが参加してくださいました。
高Ⅰ対象 MindLab体験会を実施しました|聖学院中学校・高等学校


 今回は、「論理的思考を高める」ことを目的に、ラッシュアワーを使って、論理的に問題を解決するためにはどうすればいいかというワークショップを行いました。(写真はイメージです)
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 担当された先生から、「正解を覚えていて、それを正しく言えるということだけでは意味がなく、どのように考えるのかということに意味がある」ということを言われ、生徒たちは最初は緊張した感じで授業に取り組みました。60分の授業でしたが、ラッシュアワーのルール説明、実際のプレイ時間、「どう考えればいいか」を考える時間、「どのようにそれを日常生活で活用するか」を考える時間、とあっという間に時間が過ぎてしましました。

アンケート結果

 最後に、生徒さんに書いていただいたアンケートをご紹介したいと思います。

マインドラボのレッスンで、どんな考え方ができるようになったと思いますか?

 今回の体験会では、「何を問題だと認識し、どういう状態をゴールに設定するのか」「ゴールへ到達するために、解決しなければならない問題=サブゴールは何か」ということを考え、段階的かつ論理的に問題を解決する方法を説明しました。
 その結果、生徒たちが「できるようになったと感じた考え方」は以下のようなものでした。(文章の最後についているのは、ペンネームです)

  • 一歩先を見る考え方(アヤセ)
  • ゴールから考えず、目の前の問題を1つずつ解決する(むねりん)
  • 問題をさかのぼって解決するような考え方ができるようになった(ウニ)
  • 次の次あたりのことをかんがえる(炎天下ノ陽炎)
  • 一つの物事を解決するために逆算して考えていく。(Y.O.)
  • ゴールに到達するためにさまざまなサブゴールが必要であるということ。(M.H.)
  • 問題を解決するのに必要な条件を探せるようになった。(あにぶれっ!)
  • 進んで止まったら、また始めに戻って考え直すというくり返しから、問題を解決するための原因を探るという考え方。(T.C.)
  • 一手二手先をみることで何通りかの考え方ができる。分解して考えられることで、より詳細にいろいろできる。(雪桜)
  • 問題解決のためにどのような順序で物事を考えればいいのかがわかりました。ゴールを決めたのち、そのゴールに行くにはどんな障害を解決していけばいいのか…といったように考えます。(鎌虚)

ボードゲームで勉強することの感想を教えて下さい。

 世界15カ国で展開しているマインドラボではありますが、日本ではあまり一般的ではない、「ボードゲームを使って勉強すること」について、生徒たちがどんな感想をもったのか、書いてもらいました。(文章の最後についているのは、ペンネームです)

  • いつもの勉強と違い、楽しみながらできるので取り組みやすいと思う。(アヤセ)
  • 難しいことも、ボードゲームで学習することに寄って、わかりやすくなると思った。(むねりん)
  • 普通に考え方について講義されるよりもボードゲームをしながらの方が、実際に体験しながらなのでよく理解できた。(ウニ)
  • 意見を2人で出し合うことがとても頭の体操になった。(Y.O.)
  • 楽しみながら勉強できることがいちばんの魅力だと思う(M.H.)
  • 実際にさわりながら考えることができるので、とても楽しかったです。(あにぶれっ!)
  • ふだん勉強する以上に頭を使った。この考え方を意識して、テストが終わった後のテスト直しでも原因をしっかりさぐれるようにしたい。(T.C.)
  • やることでひらめきや新しい考え方などが生まれて学習にも役立つと思った。(雪桜)
  • 親しみをもってプレイすることができ、そこから実感をもって学ぶことができ、感覚的にも理解しやすかったです。(鎌虚)

 この体験会の直前が、定期テストの答案返却だったらしく、「この考え方を意識して、テストが終わった後のテスト直しでも原因をしっかりさぐれるようにしたい。」という感想は、非常にうれしいことです。結果がでて終わり、ではなくて、過程を論理的に考えていくことで、「どこを間違えたのか」「どの部分の理解が曖昧なのか」など、より理解を深める事ができると考えています。こうして、論理的思考力と普段の学習が結びついていくことで、より学校生活が学び多いものになることを願います。

 先生方にも体験会にはご参加いただきました。お忙しいなか、ありがたいことです。
 今後も、何かご一緒できることがあればいいと思っております。

淑徳小学校:Emotionally Safeな授業が大切

淑徳小学校の放課後クラブ「淑徳アルファ」で開講しているマインドラボで、2年生のクラスは6月は「アバロン」をやってきました。この単元は、「協力すること」がテーマになっています。アバロンは、相手よりも多くボールが並んでいれば、相手のボールを押すことができ、先に6個相手のボールを落としたら勝ち、というゲームです。相手よりも多くボールが並んでいれば押されないので、バラバラになっている方が不利だ、というゲームなので、「自分のボールをチームとしてひとかたまりにすることで、ボールを1つ1つの力よりも強くなる」ということが、ゲームの中で学んでもらいたいことになります。
アバロンのゲームをした後に、ワークブックを開いて、どんなことに気をつければいいか、などを文章で書いてもらっています。自分の言葉で書くことはまだ大変ですが、ゲームで楽しみながらこうしたトレーニングを継続してやっていくことが重要なので、「正解不正解があるわけじゃないよ」「どうしてそう思ったのかを、わかるように書いてね」「人の発表を聞いて、あ、違ったかも、と思ったら、書き直したり、書き足してもいいよ」といつも言っています。
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マインドラボでは、「Emotionally Safe」という言葉を大切にしています。これは、「どんな考え方でも、ここでは口に出して表現しても大丈夫だ」という、信頼関係を築くことです。勇気を出して発表しても、「それは違うよ」って先生に言われたら、そのあと、また自信回復に時間がかかってしまいます。だから、正解でも不正解でも、「どうしてそう考えたの?」と僕たちインストラクターは答えます。そうすると、考えた手順を他のみんなにも知ってもらえます。途中で「違うよ!」というクラスメイトもいます。その子には、少し待っていてもらって、改めて、「どうして違うと思ったのか」を、説明してもらいます。
こうしたディスカッションを続けていると、3ヶ月から半年くらいで、ディスカッションに児童たちが慣れていきます。安易に「違うよ!」とかも言わなくなります。また、「どうしてそう思ったかが大事だよ!」とか、クラス内で言い合う姿も見られるようになります。「あ、そうか、ここが違ってた、勘違いしてた」と自分で間違った箇所を見つけられるようになる子もいます。こうした環境が、「Emotionally Safe」だと思っているのです。
2年生のクラスも、だいぶディスカッションの雰囲気が変わってきました。1学期のラストスパートが楽しみです。